本文へスキップ
キャリアの教科書
転職の始め方

在職中の転職活動が会社にバレない進め方|面接・有給・手続き

公開 更新 読了 約12分
執筆: 林 祐輝

この記事の要点

  • 在職中の転職活動がバレる原因の多くは、本人の言動・会社の端末・SNSや転職サイトの公開設定の3つ。法律や制度の手続きから在職中にバレることはほぼない。
  • 面接は平日夜・オンライン・土曜を優先し、どうしても平日昼になる場合は有給休暇を使う。有給は労働基準法39条5項で労働者が時季を指定でき、取得理由を伝える義務は条文にない。
  • 転職サイトやスカウトサービスでは、在籍企業と関連会社を企業ブロックに登録し、職務経歴は社名や固有のプロジェクト名が特定されない書き方にする。
  • 退職の意思表示は内定承諾後。退職日と入社日の間を空けると、住民税・健康保険・国民年金を自分で手続きする必要が出るため、日付は手続きまで含めて決める。
目次

在職中の転職活動は、進め方を決めておけば会社に知られずに終えられます。バレる原因の多くは、同僚への相談、会社のパソコンやメールの使用、SNSや転職サイトの公開設定の3つで、住民税や社会保険といった制度の手続きから在職中に知られることはほぼありません。面接は平日夜・オンライン・土曜を優先し、平日昼になる場合は有給休暇を使います。有給は労働基準法39条で労働者が時季を指定でき、理由を伝える義務は条文にありません。この記事では、バレる経路の潰し方、面接日程と有給の使い方、退職前後の手続きまでを順に説明します。

在職中の転職活動が会社にバレる5つの経路

転職活動が知られてしまうのは、ほとんどが本人の側から情報が漏れたときです。転職エージェントなどの職業紹介事業者には、職業安定法51条で業務上知り得た秘密を漏らしてはならない義務があり、応募先の企業にも同じ条文が適用されます。仕組みの側から勝手に伝わることは考えにくく、対策は自分の行動と設定に集中させるのが効率的です。

バレる経路と、その防ぎ方
経路起きること防ぎ方
同僚・上司への相談信頼して話した相手から社内に広がる内定承諾まで社内の誰にも話さない
会社の端末・メール・ネットワーク閲覧履歴や送受信の記録が残る応募・連絡はすべて私用のスマートフォンと個人メールで行う
転職サイト・スカウトの公開設定在籍企業の人事が経歴を閲覧する企業ブロックに在籍企業と関連会社を登録し、経歴を匿名化する
SNSの投稿転職活動をにおわせる投稿や、面接先の近くでの位置情報活動中は転職関連の投稿をしない。位置情報の付与を切る
勤務中の行動の変化平日昼の不自然な外出、服装の変化、私用電話の増加面接は勤務時間外に寄せ、平日昼は有給休暇で対応する
会社の端末で求人を見ない会社が貸与するパソコンやスマートフォン、社内ネットワークの通信は、会社の管理下にあります。求人サイトの閲覧、職務経歴書の作成、エージェントとのメールは、休憩時間であっても会社の端末では行わないでください。職務経歴書の作成に必要な社内資料を個人のメールに送ることも、情報の持ち出しとして問題になるおそれがあります。

面接日程の調整:勤務時間外に寄せる

在職中の転職活動でいちばん負担になるのが面接日程です。平日の昼に何度も抜けると、それだけで周囲に気づかれやすくなります。日程はできるだけ勤務時間外に寄せ、どうしても平日昼になる回だけ有給休暇を使う、という順番で考えます。

勤務時間外に面接を入れる方法

面接の時間帯ごとの特徴
時間帯・形式向いている選考段階注意点
平日夜(18時以降)一次面接・二次面接対応できる企業とできない企業がある。応募時点で確認する
オンライン面接一次面接・カジュアル面談自宅など社外の静かな場所から参加する。会社の会議室や会社の端末は使わない
平日の昼休み短時間の面談移動が必要な対面面接には向かない。オンラインで30分程度のものに限る
土曜一次面接・適性検査実施している企業は限られる。求人票や採用ページで確認する
平日昼(有給休暇)最終面接・工場や事業所での面接回数を絞る。同じ日に複数社の面接をまとめると有給の消費を抑えられる

最終面接は役員が対応することが多く、平日昼に限られる企業が少なくありません。一次・二次を勤務時間外で進め、最終だけ有給休暇を使う、という配分にすると無理がありません。

企業への日程の伝え方

応募先の企業は、在職中の応募者が勤務時間外の面接を希望することを前提にしています。「現在在職中のため、平日は18時以降、または土曜日を希望します」と最初に伝えておけば、それ自体が評価を下げる理由にはなりません。候補日は3つ以上出し、返信は24時間以内を目安にすると調整がまとまりやすくなります。

転職エージェント経由で応募している場合、面接日程の調整は担当者が企業とやり取りするのが一般的です。勤務の都合で面接に出られる時間帯を最初の面談で伝えておくと、候補日を出すたびに説明する手間が省けます。初回面談で何を伝えるかは転職エージェントの初回面談で聞かれることにまとめています。

平日昼の面接には有給休暇を使います。有給休暇の取得時期や理由について、労働基準法39条が何を定めているかを先に押さえておくと、申請のときに迷いません。

転職活動に関係する年次有給休暇の規定(出典: 労働基準法 39条・附則136条)
条文内容転職活動での意味
39条1項6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に10労働日の有給休暇を与える入社半年未満だと有給がない場合がある。付与日と残日数を先に確認する
39条4項労使協定がある場合、年5日以内で時間単位の取得ができる会社に制度があれば、面接の前後だけを時間単位で休める
39条5項使用者は労働者が請求する時季に有給休暇を与えなければならない(時季指定権)。事業の正常な運営を妨げる場合に限り、他の時季に変更できる(時季変更権)取得日は原則として労働者が決められる
39条6項労使協定により、5日を超える部分について会社が計画的に取得日を定められる(計画的付与)計画的付与の日は自分で動かせない。残りの日数を面接に充てる
39条7項年10日以上付与される労働者には、そのうち5日を会社が時季を定めて取得させなければならない会社から取得日を指定される日がある
附則136条有給休暇を取得した労働者に賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない有給を使ったことを理由に評価を下げることは想定されていない

39条には、有給休暇の取得に理由の申告を必要とする規定はありません。申請書に理由欄がある会社でも、「私用のため」と書けば十分です。通院や家族の用事など事実と異なる理由をつくると、後で話の辻褄を合わせる必要が出てくるため、具体的な理由は書かないほうが安全です。

一方で、会社には時季変更権があります。繁忙期の締め日やチームの人員が足りない日に申請すると、別の日への変更を求められることがあります。面接の候補日を企業に出す前に、自分の職場で休みを取りやすい日を確認しておくと、日程の出し直しが減ります。

  • 面接のある日だけ急に休むのではなく、普段から月に1回程度は有給を使っておく
  • 半日単位や時間単位の制度がある場合は、午前だけ・午後だけの取得にとどめる(制度の有無は就業規則で確認する)
  • 同じ週に面接が重なる場合は、1日にまとめて複数社の面接を入れる
  • 申請は前日ではなく、数日前までに出す。急な申請が続くと理由を聞かれやすくなる
  • 有給を使い切らずに残しておく。退職前の消化にも必要になる

転職サイト・スカウト・SNSでバレない設定

転職サイトやスカウトサービスに職務経歴を登録すると、登録情報を企業の採用担当者が検索・閲覧できるようになります。在籍企業の人事が同じサービスを使っていれば、自分の経歴が目に入る可能性があります。これを防ぐのが企業ブロック(ブロック企業設定、非公開企業設定など、サービスによって名称は異なります)です。

  • 登録したすべての転職サイト・スカウトサービスで、在籍企業を企業ブロックに登録した
  • 親会社・子会社・グループ会社、取引の多い会社もブロックした
  • 社名の表記ゆれ(英字表記、旧社名、略称)も登録した
  • 職務経歴の社名を「大手〇〇メーカー」のように業種と規模で表した
  • 社内で固有のプロジェクト名、製品名、受賞歴など、本人が特定される情報を外した
  • プロフィール写真を設定していない、または社内の人に見覚えのない写真にした
  • 連絡先を会社のメールアドレスや会社の電話番号にしていない
企業ブロックで防げないもの企業ブロックは、指定した企業の採用担当者のアカウントから自分の情報を見えなくする機能です。在籍企業の社員が個人として同じサービスに登録している場合や、ブロックしていない関連会社経由の閲覧までは防げません。経歴の書き方で本人が特定されないようにしておくことが、ブロック設定と同じくらい大切です。

転職サイト・エージェント・スカウトの違いと使い分けは転職サイトと転職エージェントの違いで、複数のエージェントに登録する場合の管理方法は転職エージェントは何社登録すべきかで解説しています。登録先を増やすほどブロック設定の漏れが起きやすくなるため、登録したサービスは一覧にして管理してください。

SNSで気をつけること

実名のSNSや、同僚とつながっているアカウントでの転職関連の投稿は、活動中は控えます。ビジネス向けSNSでプロフィールを急に更新すると、つながりのある人に通知が届く設定になっていることがあるため、更新の通知設定を確認してから編集してください。写真や投稿の位置情報から、面接先の近くにいたことが分かる場合もあります。

社内で気をつけること:話さない、変えない

制度や設定よりも見落としやすいのが、職場での振る舞いです。転職活動は内定を承諾するまで結果が分かりません。途中で社内に知られると、選考が終わる前に居づらくなるうえ、転職をやめた場合にも影響が残ります。

  • 仲のよい同僚にも、内定承諾までは話さない。退職の意思を最初に伝える相手は直属の上司にする
  • 面接の日だけスーツで出社するなど、服装を急に変えない。会社の最寄り駅以外で着替える方法もある
  • 勤務中に企業やエージェントからの電話に出ない。着信は休憩時間や退勤後に折り返す
  • 退職を前提にした私物の持ち帰りや、仕事の引き継ぎ資料づくりを先に始めない
  • 職場の不満を口にする回数を増やさない。転職を考えていることが周囲に伝わりやすくなる

退職を伝えるタイミングと、退職日・入社日の決め方

退職の意思表示は、転職先の内定を承諾し、入社日が決まってから行います。内定が出る前に伝えると、選考が流れたときに戻る場所がなくなります。上司への切り出し方や引き止めへの対応は退職の伝え方とタイミングで詳しく解説しているので、ここでは在職中の転職活動に特有の「日付の決め方」に絞ります。

退職日と入社日は、引き継ぎと有給消化に加えて、住民税・健康保険・年金の手続きまで含めて決めます。退職日の翌日に入社すれば、健康保険と厚生年金は会社が切り替えるため、自分で行う手続きはほとんどありません。退職日と入社日の間が空くと、その期間の健康保険と年金の加入を自分で手続きする必要があります。

月末退職と月の途中の退職健康保険の資格は、退職日の翌日に失われます(健康保険法36条)。月の末日に退職すると資格喪失日は翌月1日になり、その月の保険料は前の会社で控除されます。月の途中で退職して翌月に入社する場合は、空いた月の分を国民健康保険・国民年金で加入する必要があります。

住民税・社会保険の手続き:退職月で変わる

会社員の住民税は、会社が毎月の給与から差し引いて市区町村に納める特別徴収が一般的です。退職すると会社は翌月以降の分を徴収しなくなるため、残りの住民税の扱いが退職する月によって変わります(地方税法321条の5第2項)。

退職する月ごとの住民税の扱い(出典: 地方税法 321条の5)
退職する月残りの住民税の扱いやること
1月〜4月5月分までの残額を、最後の給与や退職金から一括で差し引く(給与等が残額を超える場合)最終の給与明細で一括徴収されたかを確認する
5月5月分が年度の最後の月のため、残額は原則として生じない特になし
6月〜12月本人が申し出れば一括で差し引ける。申し出がなければ、市区町村から届く納付書で自分で納める(普通徴収)一括で払うか、納付書で払うかを退職前に会社へ伝える。転職先で特別徴収を引き継げるかは転職先の担当者に確認する

健康保険と年金:空白期間があるときだけ手続きが必要

退職から入社までに空白がある場合の手続き
制度選択肢期限・条件
健康保険任意継続(前の会社の健康保険に個人で加入を続ける)資格喪失日から20日以内に申し出る。資格喪失日の前日まで継続して2か月以上の被保険者期間が必要。加入できる期間は最長2年(健康保険法3条4項・37条・38条)
健康保険国民健康保険に加入する住所地の市区町村で手続きする。退職日を証明する書類が必要になる
健康保険家族の健康保険の被扶養者になる家族の勤務先を通じて手続きする。収入の条件がある
年金国民年金の第1号被保険者への種別変更退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区町村または年金事務所で手続きする

退職した年に転職先で年末調整を受けるには、前の会社の源泉徴収票が必要です。給与の支払者は、年の途中で退職した人に退職日以後1か月以内に源泉徴収票を交付することになっています(所得税法226条1項)。届かない場合は前の会社に請求してください。雇用保険の被保険者番号や年金の基礎年金番号も入社手続きで求められるため、退職時に受け取る書類はまとめて保管しておきます。

在職中の転職活動の進め方:5つのステップ

ここまでの内容を、時系列に並べ直します。転職活動全体の流れは転職の始め方で解説しているので、ここでは在職中だからこそ必要になる作業に絞っています。

  1. 就業規則と有給の残日数を確認する退職の申し出期限、有給休暇の残日数と付与日、時間単位・半日単位の制度の有無、計画的付与の日を確認します。ここで分かった日数が、面接に使える有給の上限になります。
  2. 私用の連絡手段とバレない設定を整える個人のメールアドレスとスマートフォンを転職活動専用にし、転職サイトやスカウトサービスに登録したら、その日のうちに企業ブロックを設定します。職務経歴は社名や固有名詞を伏せた形にします。
  3. 勤務時間外に面接できる応募先を優先する応募時に平日夜・オンライン・土曜の面接が可能かを確認します。エージェントを使う場合は、面接に出られる時間帯を最初に伝えます。職務経歴書は職務経歴書の書き方を参考に、平日の夜や休日に進めます。
  4. 最終面接など平日昼の選考に有給を充てる有給は最終面接や事業所での面接に絞って使います。同じ日に複数社の面接をまとめ、申請は数日前までに「私用のため」で出します。
  5. 内定承諾後に退職を伝え、日付と手続きを確定する入社日を決めてから直属の上司に退職を伝えます。退職日は有給消化と社会保険の切り替えを考えて決め、住民税の扱いを会社に伝え、源泉徴収票などの書類を受け取ります。

在職中は活動に使える時間が限られるため、応募数を増やしすぎると日程が回らなくなります。面接で必ず聞かれる質問は転職面接でよく聞かれる質問20選で先に準備しておくと、平日夜の短い準備時間でも対応しやすくなります。

まとめ:バレない仕組みは最初の1週間でつくる

在職中の転職活動が会社に知られる原因の多くは、社内での会話、会社の端末、転職サイトやSNSの公開設定です。活動を始める最初の1週間で、私用の連絡手段と企業ブロックを整え、面接に使える有給の日数を確認しておけば、その後はほとんど意識せずに進められます。面接は勤務時間外に寄せ、平日昼の選考だけを有給で受けます。退職の意思表示は内定承諾後に行い、退職日と入社日は住民税・健康保険・年金の手続きまで含めて決めてください。

よくある質問

転職エージェントに登録すると、今の会社に知られることはありますか。
エージェントから在籍企業に連絡が行くことはありません。職業紹介事業者には職業安定法51条で業務上知り得た秘密を漏らさない義務があります。気をつけるべきなのは、在籍企業がそのエージェントの取引先である場合で、登録時に在籍企業への推薦をしないよう伝えておくと安心です。
面接のために有給休暇を使うとき、理由は何と伝えればいいですか。
「私用のため」で足ります。労働基準法39条には、有給休暇の取得に理由の申告を必要とする規定はありません。事実と異なる理由をつくると後で辻褄を合わせる必要が出るため、具体的な理由は書かないほうが安全です。
有給休暇の申請を拒否されることはありますか。
取得そのものを拒否することはできませんが、会社には時季変更権があります。請求した日に休まれると事業の正常な運営を妨げる場合に限り、別の日への変更を求められることがあります(労働基準法39条5項)。繁忙期を避けて申請すると変更されにくくなります。
住民税の通知で、転職活動や転職先が今の会社に知られることはありますか。
在職中の転職活動が住民税の通知から知られることはありません。退職後の住民税は、退職する月によって最後の給与からの一括徴収か、納付書による自分での納付かに分かれます。転職先で特別徴収を続けられるかは、転職先の担当者に確認してください。
在職中の転職活動には、どのくらいの期間を見込めばいいですか。
応募から内定まで2〜3か月、内定から入社まで1〜2か月を見込むのが一般的です。在職中は面接に出られる時間帯が限られるため、離職中よりも日程が延びやすくなります。退職の申し出期限は就業規則で確認し、入社日から逆算してください。
退職日と入社日の間を空けてもいいですか。
空けても問題ありませんが、その期間は健康保険と年金の手続きを自分で行う必要があります。健康保険は任意継続・国民健康保険・家族の被扶養者のいずれかを選び、年金は国民年金の第1号被保険者への種別変更を退職日の翌日から14日以内に行います。手続きを減らしたい場合は、退職日の翌日を入社日にしてください。

この記事を書いた人

林 祐輝

リードキャリア キャリアアドバイザー

人材紹介の現場で求職者と企業の双方に向き合い、ホワイト企業に絞った転職支援を行う。SNSでは採用の裏側や企業選びの考え方を発信し、複数アカウントで累計数万人に届ける。

LINEで無料相談する