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キャリアの教科書
転職の始め方

退職の伝え方とタイミング|円満に辞めるための手順・切り出し方・引き止め対策

公開 更新 読了 約10
執筆: キャリアの教科書 編集部監修: 林 祐輝リードキャリア 代表 / キャリアアドバイザー

この記事の要点

  • 退職の意思表示は、転職先の内定承諾後、入社日の1.5〜2か月前が目安
  • 法律上は2週間前で退職できるが、就業規則(多くは1か月前)と引き継ぎを考慮して動く
  • 伝える相手は直属の上司に、対面または1対1のオンラインで。最初に「相談」ではなく「決定」として伝える
  • 引き止めへの対応は「決めたこと」を繰り返す。条件提示(カウンターオファー)で残るのは慎重に
目次

内定が出た瞬間に安心して、退職の伝え方で失敗する人が少なくありません。伝えるタイミングを間違えると入社日がずれ、伝え方を間違えると最終出社日まで気まずい時間を過ごすことになります。この記事では、法律上のルールと実務の両面から、円満に退職するための手順をまとめます。

いつ伝えるか:内定承諾後、入社日の1.5〜2か月前

退職の意思表示は、転職先の内定を承諾した後に行います。内定が出る前に伝えると、万一選考が流れたときに戻る場所がなくなります。タイミングは入社日から逆算し、1.5〜2か月前が目安です。

法律と就業規則、実務の違い
基準内容備考
民法(期間の定めのない雇用)申し出から2週間で退職できる法律上の最低ライン。会社の承諾は不要
就業規則多くの会社で「1か月前まで」と規定法的拘束力は民法が優先するが、円満退職には従うのが無難
実務上の目安1.5〜2か月前引き継ぎ、有給消化、後任の調整を考慮
有給休暇を消化したい場合残っている有給は退職前に消化できます。会社は退職時の有給取得を拒否できません(時季変更権は退職日を超えて行使できないため)。有給日数を確認し、最終出社日と退職日を分けて計画してください。

誰に、どこで伝えるか

  • 伝える相手:直属の上司。上司を飛ばしてその上や人事に先に言うのは避ける
  • 場所:会議室など1対1で話せる場所。オンライン勤務なら1対1のビデオ会議
  • 時間:上司の予定を確認し、「ご相談したいことがあるので15分ほどお時間をいただけますか」と事前に依頼する
  • 手段:口頭で伝えた後、退職届(または退職願)を書面で提出。メールやチャットだけで済ませない

切り出し方:「相談」ではなく「決定」として伝える

「転職を考えていて…」と相談の形で切り出すと、引き止めの余地を与えてしまい、話が長引きます。最初の一言で「決めたこと」として伝えてください。

お時間をいただきありがとうございます。突然で申し訳ないのですが、一身上の都合により、○月末で退職させていただきたく、ご報告に参りました。すでに次の職場も決まっており、意思は固まっております。引き継ぎについては、ご迷惑をおかけしないよう責任を持って対応します。

ポイントは3つ。退職日を具体的に言う、意思が固いことを明言する、引き継ぎへの責任を示す。この3点が入っていれば、上司は「引き止め」より「引き継ぎ」の話に移りやすくなります。

伝える内容と、伝えなくてよい内容

伝える伝えなくてよい
退職の意思と退職希望日転職先の社名(聞かれても「同業界の企業です」程度で可)
感謝の言葉会社や上司への不満・批判
引き継ぎの計画転職先の年収・条件
退職理由は「一身上の都合」または前向きな理由同僚の悪口、社内の問題点

引き止められたときの対応

引き止めには「情に訴える」「条件を提示する」「脅す」の3パターンがあります。それぞれの対応を知っておくと、動揺せずに済みます。

  1. 情に訴える(「今辞められると困る」「君が必要だ」)感謝を伝えつつ、「決めたことです」を繰り返す。議論に乗らない。引き継ぎでの貢献を約束する。
  2. 条件を提示する(昇給・昇進・異動)カウンターオファーで残った人の多くが、その後1〜2年以内に再び転職を考えると言われる。転職理由が年収だけでないなら、根本は解決しない。その場で答えず持ち帰る。
  3. 脅す(「損害賠償」「業界に居られなくする」)退職は労働者の権利で、通常の退職で損害賠償が認められることはまずない。冷静に「就業規則に従って手続きします」と伝える。悪質なら労働基準監督署や弁護士に相談。
退職届を受け取ってもらえない場合退職の意思表示は会社の承諾がなくても有効です。受け取りを拒否された場合は、内容証明郵便で退職届を送付すれば、到達した時点で意思表示が成立します。ここまでこじれるのは稀ですが、手段があることを知っておくと安心です。

引き継ぎと最終出社までの過ごし方

  1. 引き継ぎ資料を作成する:担当業務の一覧、進行中の案件の状況、関係者の連絡先、注意点
  2. 後任者と一緒に業務を回す期間を1〜2週間確保する
  3. 取引先への挨拶は、会社の方針に従う(後任と一緒に訪問、またはメールでの連絡)
  4. 貸与物の返却(PC、鍵、社員証、名刺)と、私物の持ち帰りを計画的に
  5. 受け取る書類を確認する:離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証、年金手帳(会社預かりの場合)

モデルスケジュール

時期やること
内定承諾直後転職先と入社日を確定。有給残日数を確認
入社日の2か月前直属の上司に退職を伝える。退職届を提出
1.5か月前退職日の確定。引き継ぎ資料の作成開始。後任の決定
1か月前後任への引き継ぎ実施。取引先への挨拶
2〜3週間前最終出社日。貸与物返却。以降は有給消化
退職日社会保険の資格喪失。離職票・源泉徴収票を受領
入社日転職先へ。前職の書類を提出

まとめ

円満退職の要点は、内定承諾後に、入社日の1.5〜2か月前、直属の上司に、決定事項として伝えることです。不満は言わず、感謝と引き継ぎへの責任を示す。引き止めには「決めたこと」を繰り返し、条件提示には即答しない。この手順を守れば、最終出社日まで良好な関係を保ったまま次の職場へ進めます。

よくある質問

退職願と退職届の違いは何ですか?
退職願は「退職したいというお願い」で、会社が承諾するまで撤回できます。退職届は「退職するという通知」で、提出後の撤回は原則できません。意思が固まっているなら退職届で問題ありませんが、会社の慣例に合わせるのが無難です。
退職を伝えた後、周囲にはいつ言えばいいですか?
上司に伝えた後、会社が発表するタイミングに合わせます。上司から「まだ言わないでほしい」と言われることもあるので、勝手に広めないでください。引き継ぎ相手には、上司の了承を得てから伝えます。
ボーナスをもらってから退職を伝えても問題ありませんか?
問題ありません。賞与の支給日に在籍していれば受け取る権利があります。支給後に退職を伝えることは一般的で、非難される理由はありません。ただし就業規則で「支給日以降○日以内の退職は減額」などの規定がないか確認してください。
退職を伝えたら態度が冷たくなりました。どうすればいいですか?
最終出社日までの期間限定と割り切り、引き継ぎを淡々と進めてください。感情的な対応に反応せず、業務上の連絡は記録に残る形(メール)で行うと安全です。悪質な嫌がらせがあれば人事に相談します。

この記事を書いた人

キャリアの教科書 編集部

編集部

現役のキャリアアドバイザーと人事経験者で構成。公的統計・一次情報を確認したうえで記事を制作し、公開後も定期的に更新している。

この記事の監修者

林 祐輝

リードキャリア 代表 / キャリアアドバイザー

人材紹介の現場で求職者と企業の双方に向き合い、ホワイト企業に絞った転職支援を行う。SNSでは採用の裏側や企業選びの考え方を発信し、複数アカウントで累計数万人に届ける。