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キャリアの教科書
ホワイト企業の見分け方

ホワイト企業の基準は数字で決める|年間休日・残業・離職率の目安

公開 更新 読了 約13分
執筆: 林 祐輝

この記事の要点

  • ホワイト企業に法律上の基準はない。判断するなら「全国平均より良い側にあるか」を5つの数字で確かめるのが最もぶれない
  • 目安は、年間休日120日以上、月平均残業20時間以内、有給取得率70%以上、平均勤続年数13年以上、離職率年10%未満
  • 全国平均は、年間休日116.6日(労働者1人平均)、一般労働者の残業月13.2時間、有給取得率66.9%、勤続12.7年、一般労働者の離職率11.4%
  • 5つすべてを満たす会社は多くない。4つ以上を満たし、残る1つも平均から大きく外れていなければ有力な候補と考えてよい
目次

ホワイト企業かどうかは、5つの数字で判断できます。年間休日120日以上、月平均残業20時間以内、有給取得率70%以上、平均勤続年数13年以上、離職率年10%未満。この5つは、厚生労働省の統計が示す全国平均を少し上回る水準です。「ホワイト企業」に法律上の定義はないため、雰囲気や評判ではなく、全国平均と比べてどちら側にあるかで決めるのが最もぶれない方法です。この記事では、それぞれの数字の目安と、根拠になる公的統計の最新値を、キャリアアドバイザーの立場から整理します。

ホワイト企業の基準は「全国平均より良い側か」で決める

「ホワイト企業」という言葉には、法律や行政による定義がありません。そのため、人によって基準がばらばらになりがちです。ある人は年収で、ある人は知名度で、ある人は口コミの点数で判断しています。これでは、同じ会社でも人によって評価が変わってしまいます。

そこでこの記事では、国が毎年公表している統計を物差しにします。年間休日、残業時間、有給休暇の取得率、勤続年数、離職率は、いずれも厚生労働省が全国規模で調べている数字です。候補の会社の数字をこの全国平均と並べれば、「平均より良いのか悪いのか」を誰でも同じように判定できます。

ホワイト企業の5つの基準と全国平均 出典: 厚生労働省『令和7年就労条件総合調査』『毎月勤労統計調査 2025年分結果確報』『令和7年賃金構造基本統計調査』『令和7年雇用動向調査』
指標この記事の目安全国平均(最新値)根拠の統計
年間休日120日以上116.6日(労働者1人平均、2024年)就労条件総合調査(令和7年)
月平均残業時間20時間以内13.2時間(一般労働者、2025年平均)毎月勤労統計調査(2025年分確報)
有給取得率70%以上66.9%(2024年)就労条件総合調査(令和7年)
平均勤続年数13年以上12.7年(一般労働者)賃金構造基本統計調査(令和7年)
離職率年10%未満11.4%(一般労働者、2025年)雇用動向調査(令和7年)

目安の数字は、全国平均をわずかに上回る水準に置いています。平均ちょうどの会社は「普通」であり、ホワイト企業と呼ぶなら平均より一段良い側にあるべきだと考えるためです。ただし、厳しすぎる基準を置くと候補がほとんど残らなくなるので、現実に到達している会社がある水準にとどめました。

見分け方・探し方の記事との違い求人票・口コミ・面接で何を確認するかはホワイト企業の見分け方(15のチェック項目)、知名度の低い優良企業をどう見つけるかは隠れホワイト企業の探し方で解説しています。この記事は、それらの確認で集めた数字を「何点なら合格とするか」という基準値に絞っています。

年間休日の基準:120日以上が目安

年間休日の全国平均は、厚生労働省の就労条件総合調査で分かります。令和7年調査(2024年1年間の実績)では、1企業平均が112.4日、労働者1人平均が116.6日でした。いずれも昭和60年以降で最も多い水準です。1企業平均は会社を1社ずつ同じ重みで平均した値、労働者1人平均は働いている人数で重みをつけた値で、従業員の多い大企業ほど休日が多いため、後者のほうが大きくなります。

年間休日総数階級別の企業割合(令和7年調査) 出典: 厚生労働省『令和7年就労条件総合調査の概況』
企業規模120日以上の企業割合110〜119日109日以下1企業平均
全体39.3%21.4%39.0%112.4日
1,000人以上57.8%24.0%18.0%117.7日
300〜999人51.1%22.2%25.9%116.2日
100〜299人45.9%22.9%30.7%114.5日
30〜99人35.4%20.8%43.5%111.2日

年間休日が120日以上の会社は、全体の約4割です。土日が休みの完全週休2日制で、祝日も休みになる会社は、おおむね120日前後になります。1年は約52週なので土日だけで約104日、これに国民の祝日と年末年始・夏季休暇が加わるためです。なお、完全週休2日制を採用している企業は65.5%で、残りの多くは「月に何回か土曜出勤がある」タイプの週休2日制です。

105日前後は「法律上の下限に近い」水準

労働基準法は、法定労働時間を原則として1日8時間・週40時間と定めています。1日8時間勤務の会社がこの上限の範囲で所定労働日を組むと、年間休日はおよそ105日が下限になります。求人票で年間休日105日という数字をよく見かけるのはこのためです。違法ではありませんが、全国平均より10日ほど少なく、ホワイト企業の基準からは外れます。

年間休日の読み方
年間休日読み方
125日以上全国平均を大きく上回る。年末年始・夏季休暇も長めに取れる会社が多い
120〜124日完全週休2日制+祝日休みの水準。ホワイト企業の目安を満たす
110〜119日全国平均の前後。土曜出勤が月1回程度ある、祝日の一部が出勤日などのケース
105〜109日1日8時間勤務の場合の下限に近い。休日の多さを重視するなら候補から外れる

残業時間の基準:月平均20時間以内が目安

残業時間の全国平均は、厚生労働省の毎月勤労統計調査で確認できます。2025年分の結果確報(事業所規模5人以上)では、パートタイム労働者を除いた一般労働者の所定外労働時間は月13.2時間でした。パートタイム労働者を含めた就業形態計では月9.8時間です。正社員として転職するなら、比べる相手は一般労働者の13.2時間です。

この記事では、月平均20時間以内を目安にします。1か月の勤務日を20日とすると、1日あたり1時間程度の残業です。全国平均の13.2時間より少し多い水準ですが、繁忙期と閑散期の差や、部署ごとのばらつきを考えると、会社全体の平均で20時間以内に収まっていれば、日常的に長時間の残業をしている職場ではないと判断できます。

法律の上限は月45時間。これに近い会社は基準外

残業には法律の上限があります。労働基準法第36条にもとづく労使協定(いわゆる36協定)を結んだ場合でも、時間外労働は原則として月45時間・年360時間までです。臨時的な特別の事情がある場合でも、年720時間以内、単月100時間未満(休日労働を含む)、2〜6か月の平均80時間以内に収める必要があります。

月平均残業時間の読み方
月平均残業時間1日あたりの目安読み方
10時間未満30分未満全国平均より少ない。定時で帰る日が多い職場
10〜20時間30分〜1時間全国平均の前後。ホワイト企業の目安を満たす
20〜30時間1〜1.5時間平均より多い。繁忙期にどこまで増えるかを確認したい
30〜45時間1.5〜2時間強法律の原則上限(月45時間)に近い。基準からは外れる

求人票の「月平均残業◯時間」は、会社全体の平均であることが多く、配属先の部署の数字とは違う場合があります。また、固定残業代(みなし残業)の設定時間は、実際の残業時間とは別の数字です。固定残業代の読み方は見分け方の記事で詳しく解説しています。

有給休暇の取得率も、就労条件総合調査で分かります。令和7年調査では、2024年1年間に企業が付与した年次有給休暇(繰越分を除く)は労働者1人平均18.1日、実際に取得した日数は12.1日、取得率は66.9%でした。取得率は昭和59年以降で最も高い水準です。

目安を70%以上とするのは、国の目標がこの水準だからです。政府は「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和6年8月閣議決定)で、2028年までに年次有給休暇の取得率を70%以上にする目標を掲げています。全国平均はまだこの目標に届いていないため、70%を超えている会社は、休みの取りやすさで平均より一段良い側にあると言えます。

年次有給休暇の取得状況(令和7年調査) 出典: 厚生労働省『令和7年就労条件総合調査の概況』
区分平均付与日数平均取得日数取得率
全体18.1日12.1日66.9%
1,000人以上18.5日12.8日69.0%
300〜999人18.4日12.3日66.8%
100〜299人17.8日11.7日65.5%
30〜99人17.4日11.3日64.9%
電気・ガス・熱供給・水道業(最も高い産業)19.5日14.7日75.2%
宿泊業,飲食サービス業(最も低い産業)15.9日8.0日50.7%

取得率は「取得日数÷付与日数」で計算されるため、勤続年数の短い人が多く付与日数が少ない会社では、取得率が高く見えることがあります。労働基準法では、入社6か月後に10日が付与され、勤続6年6か月で年20日になります。取得率だけでなく、取得日数が全国平均の12.1日を上回っているかもあわせて確認すると、実態に近い判断ができます。

なお、2019年4月からは、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に、年5日を取得させることが会社の義務になっています。「年5日は取れている」は法律を守っているというだけで、ホワイト企業の根拠にはなりません。

平均勤続年数の基準:13年以上が目安

平均勤続年数の全国平均は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査で確認できます。令和7年調査では、一般労働者(男女計)の平均勤続年数は12.7年、平均年齢は44.4歳でした。男女別では男性14.2年、女性10.4年です。この記事では、全国平均をわずかに上回る13年以上を目安にします。

一般労働者の平均勤続年数と平均年齢(令和7年) 出典: 厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況』
区分平均勤続年数平均年齢
男女計12.7年44.4歳
男性14.2年45.2歳
女性10.4年43.2歳

上場企業であれば、有価証券報告書の「従業員の状況」に平均勤続年数が載っています。見つけ方や、平均年齢と組み合わせた読み方は有価証券報告書の平均勤続年数の見方で解説しています。ここでは基準値として使ううえでの注意点を2つ挙げます。

  • 平均年齢との差を見る。平均年齢が40歳前後で勤続13年以上なら、20代で入社した人がそのまま残っていると読める。平均年齢が50歳近くて勤続10年なら、中途入社者が多いか、途中で辞める人が一定数いる
  • 設立からの年数を見る。設立10年の会社は、平均勤続年数が10年を超えることがない。若い会社は勤続年数ではなく、次の離職率で判断する

離職率の基準:年10%未満が目安

離職率の全国平均は、厚生労働省の雇用動向調査で分かります。令和7年調査(2025年1年間)では、常用労働者全体の離職率は13.7%、パートタイム労働者を除いた一般労働者に限ると11.4%でした。正社員として転職する場合に比べる相手は、一般労働者の11.4%です。この記事では、それより一段低い年10%未満を目安にします。

離職率は業界による差が大きい指標です。同じ調査で一般労働者の離職率を産業別に見ると、宿泊業,飲食サービス業が21.5%、サービス業(他に分類されないもの)が20.3%と高くなっています。業界ごとの水準は隠れホワイト企業の探し方で一覧にしているので、志望業界の数字と比べるときに使ってください。

会社の離職率は「1年間の離職者数÷期首の在籍者数」で計算する

雇用動向調査の離職率は、1年間の離職者数を1月1日時点の常用労働者数で割って算出しています。候補の会社と比べるときは、同じ考え方で計算します。たとえば、期首に200人いた会社で1年間に16人が辞めていれば、離職率は8%で目安を満たします。30人辞めていれば15%で、全国平均より高い側です。

定年退職や転籍が多い会社は高めに出る離職率には、自己都合退職だけでなく、定年退職や契約期間満了、グループ会社への出向も含まれます。年齢層の高い会社では定年退職者が多くなり、離職率が高めに出ることがあります。数字が目安を超えていたら、内訳を面接や人材紹介会社を通じて確認すると、実態とのずれを防げます。

5つの基準の使い方:4つ以上を満たせば有力候補

5つの基準をすべて満たす会社は、多くありません。年間休日が多くても繁忙期の残業が多い会社や、勤続年数は長いが有給の取得が進んでいない会社はよくあります。そこで、次の手順で判断することを提案します。

  1. 5つの数字を集める年間休日と残業時間は求人票、平均勤続年数は有価証券報告書、有給取得と離職の状況は厚生労働省の職場情報総合サイト(しょくばらぼ)や企業の採用ページ・サステナビリティ情報で探します。見つからない数字は空欄のまま次に進みます。
  2. 全国平均と並べて〇×をつけるこの記事の比較表と同じ形で、目安を満たすものに〇、全国平均の前後に△、全国平均より悪いものに×をつけます。
  3. 業界の平均で補正する離職率や残業時間は業界差が大きいので、×がついた項目は志望業界の平均と比べ直します。業界平均より良ければ△に上げて構いません。
  4. 空欄と△を面接で確かめる数字が見つからなかった項目や△の項目は、面接の逆質問で配属予定部署の実態を聞きます。会社全体の平均と部署の実態がずれていないかを確認する場です。
〇の数による判断の目安
〇の数判断
5つ数字の面ではホワイト企業と言える。仕事内容や年収の条件と合えば最優先の候補
4つ有力候補。残る1つが×でなく△なら、5つの会社とほぼ同等と見てよい
3つ平均的な会社。×の項目が自分にとって重要かどうかで判断する
2つ以下働きやすさを重視する転職なら、他の候補と比べてから決めたい

どの指標を重く見るかは、人によって違って構いません。子育てとの両立を考えるなら年間休日と有給取得、長く働ける環境を探しているなら勤続年数と離職率を優先する、という具合です。働きやすさの数字を担当者がどこまで調べて提示してくれるかという観点では、ホワイト企業に強い転職エージェントの比較も参考になります。

基準値チェックリスト

  • 年間休日が120日以上(全国平均は労働者1人あたり116.6日)
  • 完全週休2日制で、祝日が休みになっている
  • 月平均残業時間が20時間以内(一般労働者の全国平均は13.2時間)
  • 有給休暇の取得率が70%以上(全国平均は66.9%)
  • 有給休暇の平均取得日数が年12日以上(全国平均は12.1日)
  • 平均勤続年数が13年以上(一般労働者の全国平均は12.7年)
  • 離職率が年10%未満(一般労働者の全国平均は11.4%)
  • 目安を外れた項目について、業界平均と比べて理由を確認した

まとめ:基準を決めてから企業を見る

ホワイト企業の基準は、年間休日120日以上、月平均残業20時間以内、有給取得率70%以上、平均勤続年数13年以上、離職率年10%未満の5つです。いずれも厚生労働省の統計が示す全国平均を少し上回る水準で、「平均より良い側にあるか」を判定するための物差しです。

先に基準を決めておくと、求人票の「働きやすい職場」「残業少なめ」といった言葉に左右されにくくなります。集めた数字を基準と比べ、外れた項目は理由を確かめる。この順番で進めれば、知名度や評判に頼らずに、働きやすい会社を候補に残せます。

よくある質問

ホワイト企業に公的な基準や定義はありますか。
ありません。法律や行政による「ホワイト企業」の定義は存在しないため、この記事では厚生労働省の統計が示す全国平均を物差しにしています。年間休日・残業時間・有給取得率・平均勤続年数・離職率の5つを全国平均と比べ、良い側にあるかで判断する方法です。
年間休日は何日あればホワイト企業と言えますか。
120日以上が目安です。令和7年就労条件総合調査では、労働者1人平均の年間休日は116.6日で、120日以上の企業は全体の約4割でした。完全週休2日制で祝日も休みの会社は、おおむね120日前後になります。
残業時間の全国平均はどのくらいですか。
毎月勤労統計調査の2025年分結果確報では、パートタイム労働者を除く一般労働者の所定外労働時間は月13.2時間でした。この記事では、部署や時期のばらつきを考えて、会社全体の平均で月20時間以内を目安にしています。
有給取得率はどこで確認できますか。
厚生労働省の職場情報総合サイト(しょくばらぼ)や、企業の採用ページ・サステナビリティ情報に掲載されていることがあります。見つからない場合は、面接で「年間の平均取得日数」を聞くと答えてもらいやすくなります。取得率と取得日数の両方を確認すると判断の精度が上がります。
離職率が全国平均より高い会社は避けるべきですか。
一律に避ける必要はありません。離職率は業界差が大きく、定年退職や出向も含まれるため、年齢層の高い会社では高めに出ることがあります。志望業界の平均と比べたうえで、退職の内訳を確認してから判断してください。
5つの基準をすべて満たしていないとホワイト企業ではないのですか。
すべてを満たす会社は多くありません。4つ以上を満たし、残る1つも全国平均から大きく外れていなければ、有力な候補と考えてよいでしょう。どの項目を重視するかは、子育てとの両立や長期的な定着など、自分の優先順位に合わせて決めて構いません。

この記事を書いた人

林 祐輝

リードキャリア キャリアアドバイザー

人材紹介の現場で求職者と企業の双方に向き合い、ホワイト企業に絞った転職支援を行う。SNSでは採用の裏側や企業選びの考え方を発信し、複数アカウントで累計数万人に届ける。

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