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キャリアの教科書
面接対策

面接で希望年収を聞かれたときの答え方|人事が上に通しやすい言い方と、下限で決まる言い方

公開 更新 読了 約8分
執筆: 林 祐輝

この記事の要点

  • 「御社の規定に従います」と答えると、人事は規定の下限で提示する。それが一番手間がかからないから
  • 金額は1つの数字で先に言い、根拠を1つ添える。「現年収550万円、業務範囲が広がるので600万円を希望します」
  • 「550〜650万円」と幅で答えると、人事は下限の550万円しか聞いていない
  • 他社の提示額は聞かれたら正直に言う。金額を言った後は付け足さずに黙る
目次

同じスキル・同じ経歴の2人が、片方は550万円、もう片方は650万円で内定が出る。採用の現場ではよくあることです。差は能力ではなく、「希望年収を聞かれたときの答え方」だけでした。年収は評価で決まると思われていますが、実際は「人事が上に通しやすい言い方をしたかどうか」で決まる部分がかなりあります。この記事では、採用側から見て高く出る答え方と、下限で決まってしまう答え方を解説します。

前提:人事は「自分が楽に通せる金額」を出す

人事が提示年収を決めるとき、必ず上司や役員への説明が要ります。「なぜこの金額か」を稟議で書かなければならない。だから人事は、説明が一番楽な金額を選びます。候補者が根拠つきで金額を言ってくれれば、その根拠をそのまま稟議に書けます。逆に何も言わなければ、規定の下限が最も説明しやすい金額になります。年収交渉は人事との戦いではなく、人事の稟議を代わりに書いてあげる作業だと考えると、答え方が変わります。

損な答え方1:「御社の規定に従います」

最も多く、最も損な答え方です。謙虚に聞こえますが、人事側から見ると「金額にこだわりがない人」です。規定の下限で提示しても断られないと判断されるので、実際にそうなります。「規定に従います」と答えて、想定より低い提示を受けてから交渉しようとしても、一度出た金額を上げるのは難しい。最初の答えが基準になります。

損な答え方2:幅で答える

「550万円から650万円くらいで」と答える人も多いですが、人事は下限しか聞いていません。550万円で出せば候補者の希望範囲内なので、断られる理由がないからです。幅を言うのは相手への配慮のつもりでも、実際は自分から下げているだけです。金額は1つに絞ってください。

損な答え方3:金額を言った後に付け足す

「600万円を希望します。もちろんご相談させていただきますが」。この「もちろん」以降で、600万円は下がります。付け足しは「この金額でなくても構いません」というメッセージになるからです。金額と根拠を言ったら、そこで止めて相手の反応を待ってください。沈黙が気まずくても、埋めない。埋めた言葉で減点されることがほとんどです。

高く出る答え方:金額を先に、根拠を1つ、言い切って黙る

  1. 金額を1つの数字で先に言う「600万円を希望します」。幅を持たせない。「くらい」「程度」も付けない。
  2. 根拠を1つ添える「現年収が550万円で、今回はマネジメントが加わり業務範囲が広がるため、600万円を希望します」。根拠は1つで十分です。3つ並べると説得ではなく言い訳に聞こえます。
  3. 言い切ったら黙る「もちろん相談は可能です」を付け足さない。相手が「その金額は難しい」と言ってきたときに初めて、代替案を出す。
根拠に使える材料現年収(源泉徴収票ベース)、応募職種で業務範囲が広がる点、他社からの提示額、市場相場(同職種・同経験年数の求人票のモデル年収)。このうち1つを選びます。最も強いのは「現年収 + 業務範囲の拡大」です。

他社の提示額はどう伝えるか

聞かれたら正直に答えてください。嘘の金額は、内定後の書類や入社後の会話で分かることがあります。ただし、実際に提示を受けているなら、言ったほうが有利です。人事は他社に負けたくありません。「A社から620万円の提示を受けています。御社が第一志望なので、同水準であれば御社に決めたいと考えています」。この言い方は、金額の根拠と志望度を同時に伝えられます。

希望年収はいつ聞かれるか、いつ言うべきか

多くの場合、一次面接の最後か、最終面接、または内定前の条件確認で聞かれます。応募書類に希望年収欄がある場合は、そこにも同じ1つの数字を書いてください。書類と面接で金額が違うと、その時点で信頼が下がります。エージェント経由の場合は、面接では「エージェントに伝えている金額のとおりです」と答え、交渉はエージェントに任せるのが基本です。自分で交渉するより、第三者が根拠を添えて伝えたほうが通りやすいことが多いからです。

実例:同じスキルの2人が100万円分かれた場面

550万円で決まった人650万円で決まった人
最初の答え「御社の規定に従います」「650万円を希望します」
根拠なし「現年収550万円で、今回は業務範囲が広がるため」
その後「ご相談させてください」と付け足した言い切って黙った
人事の稟議規定の下限で記載候補者の根拠をそのまま記載

経歴はほぼ同じでした。差は、この1分間の答え方だけです。

よくある質問

希望年収を高く言いすぎると落ちませんか?
根拠のない高額は落ちる要因になりますが、根拠のある金額で落ちることはほとんどありません。現年収と業務範囲の拡大を根拠に、現年収の10〜20%増程度が一般的な範囲です。
現年収より低い金額でも転職したい場合はどう答えますか?
その場合も1つの数字で言ってください。「現年収は600万円ですが、御社の事業に携わりたいので550万円で構いません」のように、下げる理由を添えると、人事は安心して提示できます。
エージェント経由でも面接で希望年収を聞かれますか?
聞かれることがあります。「エージェントにお伝えしている金額のとおりです」と答え、必要なら金額を繰り返してください。エージェントに伝えた金額と違うことを言わないのが重要です。
内定後に年収を上げてもらうことはできますか?
可能な場合もありますが、面接で言った金額が基準になるため、上げ幅は限られます。最初の答えで根拠つきの金額を言っておくのが最も確実です。

この記事を書いた人

林 祐輝

リードキャリア キャリアアドバイザー

人材紹介の現場で求職者と企業の双方に向き合い、ホワイト企業に絞った転職支援を行う。SNSでは採用の裏側や企業選びの考え方を発信し、複数アカウントで累計数万人に届ける。

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